自称長期投資家なのに評価だけを見て「マネーの公理」を買ってしまいました。
「投機」の教科書だと知りませんでした。
その中の副公理16に「長期投資を避けよ」というドキッとする項目がありました。
長期投資でも失敗するんですかね!?
それをご紹介します。
長期投資家ポウラ・Wさんの失敗
・ポウラ・W (女性)
・舞台は1970年代後半以降
・成人してからフォード・モーターの生産ラインで働きはじめてマネージャーまで昇進
・勤続中にフォードの普通株を数千株積み立て
・死別した夫の遺産の不動産を売却し全ての金をフォード株につぎ込む
・最終的な持ち株数は、20,000株程度
・年間の配当は52,000ドル
・配当とわずかばかりの早期退職金で老後を過ごすつもり
察しの良い方はこの時点で何かお気づきかと思いますが、先に進みます。
証券会社の担当者は、配当所得に関心があるのならば利回りが9~15%ある公共株が
オススメ(驚くことに他の会社の2,3倍の利回りらしい)するが、ポウラは断る。
断った理由は、会社のことをよく知り、信頼し、保有していることが心地よいと
感じていたから。
株価の上げ下げについても長期投資をしていて配当所得を目的としているので
気にならない。金庫にしまって忘れ去ってもいいぐらいだ。
Mr.マーケットに振り回されないポウラさんカッコイイ。
しかし、ここからポウラの運命が激変する。
減配、減配、減配
1980年 2.60ドル → 1.73ドル 33.4%減配
1981年 1.73ドル → 0.93ドル 46.2%減配
1982年 0.93ドル → 無配
1983年 0.50ドル 配当復活
1984年 1.20ドル 増配
まさかの無配から配当が復活し当初の半分ぐらいまで戻してきたが、
安定したインカムがなくなり、生活を凌ぐため持株を6,000ほど売ってしまった。
最終的には、残り14,000株から得られる配当は、16,000ドルになってしまった。
52,000ドル→16,000ドルと散々な結果だ。
思い描いてた長期計画とは全く違った結果になってしまった。
かわいそうなポウラ。
信頼していた会社に投資家という立場では裏切られてしまったポウラ。
山手線に大々的に広告を打っていた化粧品メーカーはPOLA。
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ポウラから何を学ぶか
集中投資、ダメ絶対!
これに尽きるでしょう。
そもそもこれは「長期投資」なのか?という疑問しか出てこないです。
「投機」家の著者マックス・ギュンター氏からすれば、
ポジションを持ち続けることは長期投資になるのでしょう。
4度の破産を経験した偉大な投機家ジェシー・リバモアも「長期投資家は賭けたまま持ち続けるので、最悪全てを失う可能性があるギャンブラー」だと言ってという記述があります。運用期間を長くするという今日の?長期投資の概念とは違いますね。
ポウラさんは、卵は一つのカゴに盛るなというリスク管理の鉄則を守れなかったのが
失敗の原因です。
運用資産が少ない場合や、運用機関がまだ何十年と残されている場合にはリスクをとって
集中投資するのも有りだと思いますが、老後にシクリカルな銘柄にフルベットはリスキー過ぎました。
当時はわずかなコストでETFというアンシステマティック・リスクを
回避する優れたものがなかったので選択肢はどれも難しかったのでしょうけれど。
公共株が9~15%もの株配当利回りがあるならこれに50%、米国債(利付)に50%で
良かったのかなと思います。
「長期投資」の失敗ではなかったので、安心した
マネーの公理に書かれていたのは、本当の意味での長期投資での失敗では
なかったので安心しました。
これからもシーゲル教授の教えを胸に、米国株による長期投資を実践して
いきたいと思います。
マネーの公理は、「投機」をやらない、嫌いという人が読んでも面白い本でした。
あらゆる投資に共通することが書かれているので学びが多いです。
May Dividends be with you.
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